鈴木清へのご意見書き込み帳
化学工学特論 - 鈴木
2021/06/03 (Thu) 11:39:15
福井大学 大学院 博士前期課程向けの講義、
化学工学特論についてのコメントや質問はこちらに記してください。
エネルギー収支における「系」と「仕事」についての疑問 - 鈴木
2021/06/03 (Thu) 11:50:18
系は考える対象ですが、多くの場合、反応器や、単位操作の装置のような、地球上で固定した場所にします。
私は、一人の人間の体、など、動くものも系にして良いと思っていますが。
空間上に固定した場所を系とするなら、その系に加えられる仕事をどのように考えるべきなのか、分かりません。
例えば、固定された反応器に原料を流し込み、反応器中の流体が連続的に反応器から流れ出す、いわゆる連続反応器の場合、そのように流入と流出する際に系に加えられた仕事と系が外界に対して行う仕事として、
単純に、以下のように考えていました。
すなわち、
系に流体が流入する場合、系は、その流体から、流体の流入する入り口での流体の圧力の値Pと、流体が流入した体積の値Vの積に等しい量だけ仕事をされる。
系から流体が流出する場合、系は、外界に対して、流体の流出する出口での流体の圧力の値Pと、流体が流出した体積の値Vの積に等しい量だけ仕事を行う。
ところが、よく考えてみると、仕事の大きさは、力と力の方向に動いた距離の積で表わされます。系はその外形が変わっていないので、力の方向には動いていません。そう考えると、系は外界と仕事のやりとりをしていないようにも考えることができます。
系の中にある物質の全体を系とみなすと、中にあった物質が外に出るときに移動するので、仕事をしているとも考えられます。
一体、どちらが正しいのでしょうか。
エネルギーと仕事と、系、物質、場所について、もう少し理解しなくてはならないと思いました。
また、物質が存在していない空間にもエネルギーが存在するのか、どう定義するのかが分かりません。
物質の存在しない空間にはエネルギーは存在しないのだと思っていました。
でも、電場や磁場があれば、物質がなくてもポテンシャルは存在しているような。
物質が一切存在しない真空があるのかは疑問ですが、時間を止めて一瞬を見れば、分子(原子、素粒子?)が占めていない空間の場所はあるはずです。量子力学だと、不確定で、どの場所にも確率的にわずかであっても存在しているということになって、「物質が存在していない空間はない」ということになるのかもしれませんが。
分かりません。
真空にエネルギーはあるか - 鈴木
2021/06/03 (Thu) 12:50:29
真空にエネルギーは無いと考えていましたが、エネルギーが何に所属しているのか、分かっていないので、ちょっと考えてみました。
たとえば、位置エネルギー。地球上にある物体は、高度、すなわち地球の重心(普通は地表や海面などを考えることが多いでしょう)からの距離が大きいほど、位置エネルギーが大きいです。これは万有引力によるものです。
遠い距離の物体に力を及ぼすことのできる力としては、私は、静電気力、磁力、重力をしっていますが、他に、強い力(原子核を結びつけているものらしいです)や弱い力(クォークとかの間に働くらしい)もあるらしいです。
重力を取り上げれば、地球上にある物体Aについて、それが地球に引っ張られていて力を受けるので、他のものBがあれば、それを押してその方向(地球の重心への方向)に動かすことができます。従って、物体Aはエネルギーを持っていることになります。
ただし、物体Aがなくても、物体Bがあれば、それは地球の重心に向かって引っ張られます。物体Bが地球からの重力を受けて、地球の重心に向かって落下すれば、地球が仕事をしたことになるので、地球自身が、エネルギーを持っているとも考えられます。
同様に、負電荷、たとえば、電子が存在すれば、まわりにもしも正電荷があれば、引力を加えて、その引力の向きに移動させることができるので、電子の存在そのものがエネルギーを持っていることになります。
重力は地球に引っ張られる物体の質量に比例し、静電気力は引っ張られる(もしくは反発される)物体の電荷に比例しますので、たとえ、力を加えられる対象の物体が存在しなくても、力を加えて仕事を行う潜在能力が空間に備わっているかのように考えることもできる・・・という理由で、potentialエネルギーと言われるのでしょう。
ただし、それは考え方であって、電子や地球(というか重力を及ぼす物体)がなければ、力も働かないので、やはり、空間にエネルギーが所属しているのではなく、エネルギーは力を及ぼす原因物質に所属していると考えた方が良さそうです。
位置エネルギーの所属 - 鈴木
2021/06/03 (Thu) 13:15:37
上記により、位置エネルギーは、力を及ぼし合う2つの物体に所属すると考えた方が良さそうです。
では、そのエネルギーは、その二つの物体のうちのそれぞれに、何%ずつ所属すると考えれば良いのでしょうか。作用反作用の法則より、二つの物体に加わる力は、向きが反対で大きさが同じです。地球とその上の物体Aを例にとれば、物体Aが、その質量mに比例して、地上の重力加速度gを用いてmgだけの力を受けますが、地球は逆にAの方向にmgだけの力を受けているはずです。
話が散乱しますが、座標系をどのように取るかによって、移動距離の大きさが変わるようにも思えます。
普通は地表面が移動しないと考えて、地表面上に固定された座標系を取ります。(地球も自転、公転していますし、太陽系も移動しているんでしょうけど。)
その場合、力の向き(したがって、仕事の量を求める際に必要な移動する距離の向きも)は、地球の重心への方向です。
地球も、物体Aによって引っ張られています。それに伴い、エネルギーを有しているでしょう。
考える時間がなくなったので、このあたりで止めておきます。また時間がある時に続きを考えます。
真空への断熱自由膨張 - 鈴木
2021/06/03 (Thu) 13:23:34
時間がないので、上記の話の続きをちょこっとだけメモしておきます。
理想気体が、断熱の固定された容器の中に閉じ込められているとして、また別の断熱の固定された容器があり、その中には何も入っていない(真空)だとします。それらの間に、固定された通気口があって、それが閉まっていた状態から、あるときに開けられたとします。
すると、理想気体は、両方の容器いっぱいにひろがりますが、その際に理想気体は仕事をしないはずです。広がる先の相手が真空であり、圧力がかかりませんので。分子の速度は変わらないはずです。
ただし、濃度が下がることにより、容器の壁にかかる圧力が減ります。
実際にはありえませんが、断熱(壁)の容器なので、熱の移動もありません。仕事もしませんから、熱力学第一法則により、この理想気体の内部エネルギーは変わらないはずです。
すると、温度も変わらないと考えられます。1モルあたりの内部エネルギーの変化は、低圧モル熱容量と絶対温度の変化の積だと思いますので。
ただし、圧力が減って、体積が減り、理想気体の法則により、温度が一定なので、圧力と体積の積は一定のはずです。
したがって、エンタルピーも、この変化によって変わらないはずです。
・・・とここまで考えてから、Googleで本当かどうか確かめるために検索したら、
https://home.hiroshima-u.ac.jp/atoda/Thermodynamics/00SummaryJ.pdf
がありました。どうやら正しい推論のようです。
前の書き込みで、「何もない空間(真空)にはエネルギーはない」と結論しましたが、ある時間を考えれば、分子が存在しない空間は分子の間にたくさんあるはずです。そのような空間にエネルギーがないとすれば、この投稿で考えた変化について、矛盾はないということになります。真空であった片方の容器の中の真空にはエネルギーがなかったとしてつじつまがあいます。
もちろん、「何もない空間に、その中に存在する物質に関係なく、一定量のエネルギーが存在している」と考えても、つじつまはあうのでしょうけど。
反応速度の定義への疑問 - 鈴木
2021/07/28 (Wed) 12:38:21
化学工学の分野の一つ、反応工学では、反応速度の定義が行われている。その定義に疑問がある。
以下の書籍、
改訂版『反応工学』橋本健治著、培風館(1993年)
と
『ビギナーズ化学工学』林順一・堀河俊英著、化学同人(2013年)
を読んでみたが、
A、B、C、Dを物質(化合物)として、a、b、c、dを数値として、
均一系の単一反応として
aA+bB→cC+dD
という反応式が例示され、
単位時間あたり単位体積あたりのAの物質量(単位はmol)の変化を、
Aについての反応速度rA(Aは下付き)
と定義し、
B、C、Dについても同様にrB、rC、rD(B、C、Dは下付き)と定義し、
rA/(-a)=rB/(-b)=rC/c=rD/d
であるので、それを
上記の反応式の反応速度r
と定義している。
上記の定義は、
可逆反応が平衡状態にある場合には、
正反応と逆反応のそれぞれの反応速度の値を決定できない。
たとえば、
A⇄B
なる可逆反応では、
正反応は
A→B
であり、
逆反応は
B→A
である。
平衡状態、すなわち、正反応と逆反応が、同じ回数だけ起こっている状況では、AとBの物質量は時間が経過しても変化しないので、定義だけを馬鹿正直に考えると、正反応の反応速度も逆反応の反応速度も、あたかも0mol/(m3.s)であるかのように考えられる。
しかし、平衡状態でも、正反応と逆反応が同じ回数だけ起こっていて、それぞれの反応速度は等しい値で0mol/(m3.s)ではない。
もちろん、上記の可逆反応は単一反応ではないので、上記の教科書の定義が該当しないという意見もあるだろう。上記の可逆反応は複合反応であり、その正反応と逆反応の両方は独立ではない。
反応速度は、元来の意味は、
反応の速度
なのだから、反応が起こった(起こる)回数に関係すべきだと思う。関係する反応物と生成物の物質量の変化は、反応そのものが起こることによる副次的な結果であり、副次的な結果を用いて反応速度を定義するよりも、反応が起こるということと反応速度を直接的に関係づける方が適切だと思う。
そこで、私は、反応速度を以下のように定義することを提案する。
単位時間あたり、単位体積あたり、反応式で示される反応が起こった(起こっている)回数
ただし、単位体積あたりの物質量、すなわち濃度について、その変化と反応速度を関連付けるために、回数をアボガドロ定数で割って、単位をmolにしておくと都合が良い。
ただし、反応式が複合反応である場合には、何をもって「起こった」あるいは「起こっている」とみなすのかを判断するのは難しい。
また、正反応と逆反応がいずれも素反応である可逆反応について、「起こった」のか「起こっていないのか」を判断するのも困難な場合があるだろう。
ただし、いずれにしても、上記の教科書に記されている定義よりも、私の提案する定義の方が、反応速度の値を定めやすい。
もちろん、上記の可逆反応の場合、正反応と逆反応が同じ回数だけ起こっている平衡状態で、上記の教科書の定義でも、
正反応の速度を、
「正反応による単位時間あたり単位体積あたりAの物質量の変化rAを(-1)で割った値」=「正反応による単位時間あたり単位体積あたりBの物質量の変化rBを1で割った値」
として正反応の速度と定義することは可能であり、そのように通常の人は、上記の教科書の定義を理解しているだろう。
でも、それなら、まさに、それこそが、反応の起こる回数を考えているわけである。
やはり、反応の起こっている回数と考えた方が分かりやすいと思う。
上記の教科書の定義では、
イデア(事実)ではなく、測定結果からの定義がなされているように思える。